初心者には機能がたくさんあるモデルソフトをいきなり使うのは敷居が高い…と思う人は少なくありません。
今回は操作やとっかかりが簡単なSketchUpの最低限の操作方法と使用時に時間短縮できるポイントを解説していこうと思います。
ダウンロード編
今現在の時間(編集の時刻)ではSketchUpProの2019版が最新版なので、それと周辺のソフトをまず揃えていきましょう。
そして、意外な出費になるのがソフトの利用料金です。ここでは永久版ソフト入手の方法をあえて詳しく載せませんが、すでに利用している人にソフトのバックアップをもらったり、無料版をまずパソコンに導入するのもよいでしょう。
学生の場合ソフトの利用割引が使えるところもあります。
理想は先述のSketchUpPro2019版とそれに対応したバージョンのEnscape、そしてVrayForSketchUp4.0以降をダウンロードしてください。
となっています。
操作編
言わずと知れた説明書いらずのモデリングツールSketchUp。
SketchUpの操作性ですが、モデリングの操作に慣れると他のソフトウェアを凌駕する速さで小規模、中規模のモデリングをこなせるようになります。
その大きな要因にSketchUp独自の操作ツールが非常に簡単なショートカットキーで構成されているため操作が簡潔で覚えやすいこと、細かな設定をしなくても作りたい形を感覚で作れることにあります。
しかし精密な操作や調整を要求される場合、ArchCADやライノといったプラットフォームで精度を高めた状態でモデリングしていく必要があります。起伏のある地形のモデルなどをSketchUpで作るのはお勧めしません。
Sketchup Tutorial For Beginners - Part One
一斉編集
モデリングソフトの時間短縮の真骨頂といえば、単元ごとに編集できるcomponentコーポネント、ArchCADやライノにおけるBlockブロックになります。
コーポネントは面以上の物体を最小単位の要素と定義して、そのコーポネントを複製しても編集時に一斉に操作できるという特性を持っています。建築デザインの性質上、柱や窓、建具、そして家具など、プロジェクト内で重複するものを統一して扱うことで、修正が必要な時にモデルを一つ一つ変更する手間を省けるのです。
グループやコーポネントを積極的に使用すると3Dモデルのファイル容量を大して増やさずに作れるので、結果的にモデルを速く制作でき、そしてSketchUpがクラッシュすることも減らせます。
ショートカットキー(初心者)
非常によく使うショートカットキーとして、
- 選択ツールSpaceBar(スペースキー)
- 面を描くrectangle(R)
- 円を描くcircle(C)
- 線を引くline(L)
- 面を立体に引き上げるpull(P・Ctrlを押すと面を複製)
- 選択した物体を移動するmove(M・Ctrlを押すと物体を複製)
- 比率を変更するscale(S)
- オフセットoffset(F)
- 材質を与えるバケツ工具material(B)
- グループ編集・物体をグループにするgroup(Gあるいはctrl+G)
- 模型のxyz軸を再定義するaxis(X)
- 物体長さを図る・平行補助線を引くdiameter(T)
- 線や点を消すeraser(E)
- 操作を一度手前に戻すundo(Ctrl+Z)
- 手前に戻した操作を先に送る(Ctrl+Y)
- 物体を複製する(Ctrl+C)
- 複製した物体をペイストする(Ctrl+V)
などを参考にして覚えたり設定すると、基本的な操作は格段に速くなります。
SketchUp Keyboard Shortcut Guides (Mac, PC, SketchUp Free, SketchUp Pro)
ショートカットキー(上級者)
ショートカットキー本来の使用法ではありませんが、SketchUp内だけで使える裏技があります。
物体を消去する際に、スペースバーの選択ツールでまず消したいものを選択し、デフォルト画面で青く表示されたものだけをdelete(del・backspace)を押して消すのですが、ショートカットキー(delに設定)と特定の道具を組み合わせて使うとカーソルを合わせるだけで消去することができます。
前述したツール
- オフセットoffset(F)
- 選択した物体を移動するmove(M)
はそれぞれ物体にカーソルを合わせるだけで青く表示されるツールなのですが、
- オフセットoffset(F)は面だけを選択し青く表示
- 選択した物体を移動するmove(M)は物体グループを優先的に、そして面や線、点などを選択し青く表示
するため、ショートカットキーのdeleteをキー(D)に設定し線を残しながら面だけを消去したい場合、offsetツールの使用中にDをおせば、見事面だけを自動に選択して消すことができます。グループだけを速く消去したい場合、moveツールの使用中にDを押せば、グループ化した物体を素早くカーソルを合わせただけで取り除けます。ほかのツールやArchCADやライノでも似たような使用法は一応できますが、SketchUpは特にクリック操作が多いので、細かな操作でもかなり楽になります。
何百と繰り返しの作業になりますが、ショートカットキーを駆使して少しでもクリックを押す回数を減らすことで、マウスを使う指の負担をかなり軽減できるので、これを試さない手はありません!
ショートカットキー(マウス)
ショートカットキーと組み合わせて使いたいものが拡張ボタンのあるマウスになります。ダブルクリックをCtrl+C/Ctrl+Vなどのよく使うものをマウスに設定して、ワンタッチで実行できてしまうことが結果的に効率よくモデリングできることに繋がります。
オートセーブ・クラッシュ編
セーブの習慣を心掛けるのが一番よいのですが、オートセーブの間隔を5-10分程度に設定するのも問題ありません。オートセーブを設定するとパソコンの速度に影響を及ぼしますが、ここは背に腹は代えられない、といったところでしょうか。
1時間作ったモデルがクラッシュしてバックアップのファイルがないという状態は最も恐ろしい事態…とも言えます。
SketchUpがクラッシュしやすいのは、大きな計算が要求される物体のBoolean操作やプラグインの計算、グループやコーポネントをexplodeして解除するとき、パソコンを長時間(6時間以上)操作させている場合、レンダリングソフトを開く場合、太陽日照をオンにする場合などになります。これらの操作の直前にセーブを心掛けるのが最も望ましいでしょう。
クラウド・プラットフォーム編
こだわりの設計だとしても、家具やインテリアグッズをゼロからモデリングするのは時間的に余裕がないとできないことだと思います。
特にSketchUpには3DWarehouseという無料のサイトなどでは、ネットユーザーがアップしたモデルを好きなように利用できます。なるべく簡潔に作られた完成モデルをダウンロードして有効利用していきましょう。
3D Warehouse: Searching and Downloading
プラグイン編
SketchUpには大量にプラグインが様々なサイトで公開されていますが、それらを有効活用することで、ライノでなくても曲線の建築をデザインできてしまう、といった可能になります。
ですがひとつ注意してもらいたい点は、プラグインの多くはあくまで、SketchUpの物体の生成ロジックによる致命的な弱点やバグを減らせるようにSketchUp内のツールを強化したものがほとんどです。便利なプラグインもありますが、これは多くの人がそのバグを修正するのに一番時間を使っている、ということを暗に示していることでもあります。
もし本当に曲面のデザインでモデリングしたい場合、素直にSketchUp以外のソフトを使用しましょう。
プラグインについては、ネット上に無料でまとめたものがなかなか見つからなかったりすることもあるので、ネットで販売されているものを購入するのもよいかもしれません。
レンダリング編
Vray
あらゆるレンダリングツールにおいて最も性能がよいといわれているのはVrayになります。光学演算が非常に優れているので、デザインの段階で細部まで作りこめば、現実の風景と全く変わらない演出もできます。
SketchUpでは材質が面に直接付加されるため、ArchCADやライノよりも手軽に設定ができる有利な点があります。Vrayのマテリアル庫にも簡単に効果が出せる材質がそろっているので、それをどんどん活用していきましょう。レンダリングの詳しい解説や設定の仕方もChaosgroupの公式YouTubeチャンネルに動画がのせてあるので、ぜひ習得してください!
V-Ray for SketchUp — Webinar: Setting Up a Day Scene from Start to Finish
Enscape
Vrayに慣れるまでの間、あるいはコンパクトにレンダリングや短時間の動画を出してみたい、と思う方にもEnscape という高速レンダリングツールを紹介します。
EnscapeはSketchUp内のデフォルト材質を自動で読み取ってくれるため、水やガラスなどの材質を付加するだけで、非常に効果的なレンダリングが生成できます。作りこむとなるとVrayよりも質が劣りますが、時間を短縮するにはうってつけのレンダリングツールともいえるでしょう。
D5 render
新しく発表されたレンダリングツールになります。今はまだ過渡期ですが、性能や操作性の伸びしろは十分にあります。ぜひチェックしてください!
補足:SketchUp2020
SketchUp2020版の性能はさらに改善されています。是非ご覧下さい。
まとめ
今回はSketchUpのダウンロード(必要な周辺ソフト)、操作の特性、ショートカットキーの設定、オートセーブ、プラットフォーム、レンダリングソフトの紹介について触れてみました。
習得すれば簡単なことですが、初心者にはなかなかたどり着けないような内容ばかりだったかなと編集した後にと少し反省したりもしています。
なんだかんだで自分にとって一番時間がかかったのがソフトの調達だったりしたので、無料のソフトや不透明な出処の資料を使うのはお勧めできません…勉強には時間もお金もかかってしまうのです。