時代は変わり、学生でもRhinocerosやAdobe Photoshop、Illustrator、InDesign、そしてVray、Mayaなどのレンダリング、そして様々なプラグインを操作するためのプログラミングもこなすようになりました。
複雑な模型を3Ⅾプリント、短い動画を作って建築のプレゼンをするのが一般的になり、建築デザインにもはや手稿でパースを描くだけでは、淘汰されるようになりました…
その大きな原因として、建築デザインの分野がさらにデザイン案を作り、プレゼンをするだけではなく、現在主流のメディアやSNS、様々な技術と複合的に研究されるようになってきたからだと感じております。
Design Visualization-新しい目的・手段
Design Visualizationとは?
簡単な定義
Design Visualizationはデザイン可視化のことで、設計データをもとに現実に近い3Dモデル、CGを作ることになります。
建築デザインではパース図面、イラストなどはデザイン可視化の手段であり、レンダリングで作成したパース図面は、さらに現実に近い状態を表現することができます。
問題可視化のメリット
デザイン可視化に力を入れる理由は、デザインの段階では発覚しない潜在的な問題を現実に近い条件でシミュレーションすることで、施工や使用の際での問題に焦点を置いて討論ができるようになります。
その他に、複雑で表面に現れにくい市場の需要と供給、人の流れなどをデータで表すことで、公共機関の合理化、商業建築群の合理化、エネルギーの最小利用などの算出にも貢献することができます。
問題可視化の難点
建築デザイン可視化は前提として、問題解決の主体が建築でなくてはなりません。都合のいいデータを得られる確証はなく、データを得るために仮説を立てて、その仮説を実証するための問題設定や実験の手段、十分なサンプル量が必要になります。
そして最終的には使用者の体験を向上させられるという実験結果を得られないと、問題分析の説得力が薄れてしまいます。
思考プロセスの可視化
建築デザインで得られる結論は千差万別であり、デザイン案の結果の善し悪しだけでなく、結論に至った思考錯誤や哲学、その手段を選択した理由も建築家に問われる重要な部分になります。
客観的な思考プロセスを踏まえていれば、第三者にどうしてこのような建築を作るのかをわかりやすく伝えることができます。
モデリングソフト運用の注意点
デザインの幅
建築デザインの適切なソフト利用は実現できるデザインの幅に直接影響してきます。
パラメトリックデザインに使われるRhinoceros+grasshopperでは単純な形態の組み合わせだけでなく、複雑な形態を計算式に置き換えてプログラミングする能力も要求されます。それはPC上のプログラミング言語、pythonやC言語などといった知識もある程度必要になります。
ソフトウェアによって推奨している使用用途が違うため、デザインから視覚化までに限定する場合、
- CADベース
- SketchUpベース
- 3dsMaxベース
- Rhinocerosベース
- その他
以上の大まかな分類に分けることができます。
CADベース操作
CAD軸インターフェース操作の特徴はコマンド入力・ショートカットキーとマウスを交互に操作することにあります。様々な分野でCADが普及しているため使用者が多く、このインターフェースが現在の操作の主流になります。*1
SketchUpベース操作
SketchUpでは大きなビューポート、ワンタッチキーとツールバー形式の操作方法になります。こちらは操作の手軽さ、速さに定評がありますが、機能の種類が少ないため拡張プラグインなどを活用する必要があります。
3dsMaxベース操作
3dsMaxではインターフェースにはコマンドバー、ツールバー、シーンエクスプローラー、ビューポートが同時に表示されいて、動画作成や材質の変更などを同時に快適に編集できることが特徴です。簡単なレンダリングもソフト内で行えるので、デザインを一貫して管理できることが最大の強みでしょう。
Rhinocerosベース操作
CADベースと3dsMaxベースを複合したような操作画面になっており、grasshopperというパラメトリックデザインの生成プラグインが内装されています。他にもRevitやArchiCADといったソフトのインターフェースもこのバランスのとれた型になっております。
その他
その他にもインターフェースの操作性を向上させたソフトはたくさんありますが、主な用途が建築設計ではない場合がおおく、動画やシミュレーション、プロダクトデザインとの分野と複合させるなどの特別な要求がない限りは、デザインにはオーバースペックになる場合があります。
適材適所、ソフトの習得にかける時間も財産なので、圧倒的な利点がない限りは主流のものを使うことをおすすめします。
Visualizationに役立つ他のソフト
統計ソフト
Tableauのような統計情報ソフトでは、建築設計に使用できる敷地の情報やExcelのデータを視覚化して反映させることができます。
grasshopper内でのプログラミングで分析の過程をわかりやすく図面化することもできます。特殊なデザインに接する場合、その視覚化に合う方法を試してみるべきでしょう。
マインドマップソフト
XmindZENなどのマインドマップを簡単に作成できるソフトでは、プレゼンに必要な情報を事前に整理して、まとめることができます。
ラフスケッチと同じように、デザイン、プレゼンの下書きを作ることで、マインドマップを直接プレゼンに組み込んだり、チームでの仕事を分担する際にもわかりやすく考えを伝達することができます。