建築デザイン時短術!ブラウザVivaldiとは?
PC上で使用するネットブラウザ、「Vivaldi」について紹介していきます。
Vivaldiとは
Vivaldi(ヴィヴァルディ)はJon Stephenson von Tetzchner*1が率いるVivaldi Technologies社が提供するネットブラウザサービスです。
VivaldiはGoogle Chromeなどに搭載されているChromiumを基にパワーユーザー向けの機能やカスタマイズ性が高さが特徴です。
Vivaldiの前身
かつてOpera*2ブラウザからレンダリングエンジンの変更に伴い、機能が削除されてしまったことから、従来のOperaユーザーを対象に新たにVivaldiとして再開発されました。
ブラウザの選択
建築デザインではネットサーフィンで資料を集めたり、パースの参考に画像や動画を大量に目を通す必要があります。
現状PCユーザーにとってGoogle Choromeは最もシェアの多いブラウザ、スマホユーザーにとってSafariが最もシェアの多いブラウザ(*日本調べ)です。
Google ChromeやSafariはブラウザ内での速度や動画再生、タグ、フォントなどの機能やUIが大変優秀なこともあり、シェアの少ないブラウザは注目されない傾向にあります。
他にもVivaldi、Brave、Firefox、Opera、Blisk、Torchbrowser、Sleipnir、Maxthon、Kinzaなど様々なブラウザサービスがありますが、処理速度の比較以外にもタブの管理や音楽、動画、Web開発、ゲーム、拡張機能など使用目的に応じて使いやすいものを選択することが重要なのです。
ブラウザの簡単な紹介
- ブラウザ+(特徴)の解説
- GoogleChrome(拡張機能、優秀な検索エンジン)
- Vivaldi(タグスタッキング、スピードダイヤル、画面分割)
- Opera(広告フィルタ、省電力)
- Kinza(日本発ブラウザ、ユーザーによって改善されるUI)
- Torchbrowser(音楽・動画メディア保存)
- Blisk(Web開発用途、PC画面とスマホ画面を同時表示)
- Brave(広告ブロック)
- Maxthon(Proxy切り替え可能、中国仕様)
- Safari(Mac、iOSにて最速、美しいフォント)
- Sleipnir(多重タグ、美しいフォント)
- Firefox(拡張機能)
上記は全て便利な機能を兼ね備え、実用的なブラウザです。
特にGoogle Chromeをもとに改良を加えているブラウザではアカウントを同期することで、ブックマークや拡張プラグインを受け継ぐことができ、素早い移行が可能になります。
建築デザインでの用途
建築デザインのブラウジング先には、
- 画像掲載・ニュースサイト検索
- 論文・テキストの検索
- 動画サイトの検索
などがます。さらに詳しく見ていきましょう。
画像・建築ニュースサイトの検索
パースの参考となる画像や、実際に建設され図面が公開されているプロジェクトの画像資料を学習のために収集することがあります。
画像をJPG形式(ピクセル画像)またはPNG、PDF形式(ベクトル画像)でダウンロードしたり、初期デザインで紹介をプレゼン内に交えていきます。
参考サイト:
- HPの名称 +(内容)となります。
- ArchDaily(ニュース・詳細な図面など)
- architecturephoto.net(ニュース・宣伝・写真など)
- Architizer(A+Awards・雑誌・写真など)
- archilovers(SNS連携・写真など)
- designboom(雑誌・デザイン・写真など)
- dezain.net(日本語対応・宣伝・ニュースなど)
- Dezeen(ニュース・3Dプロダクトなど)
- gooood(多国語対応(日本語非対応)・ニュース・詳細な図面など)
- HomeDSGN(住宅・インテリア向け)
- IDEASGN(コンセプトデザイン・インテリア向け)
- ISSUE(ポートフォリオ・出版など)
- KENCHIKU online(建築関連コンペなど)
- mocoloco(デザイン・現代デザイン)
- Pinterest(画像・非体系化・デザイン・イラストなど)
- TabuleauPublic(統計グラフ・ビジュアライズ)
- WORKSIGHT (オフィス空間デザインなど)
論文・テキストの検索
建築デザインは形態のみならず、機能や設備、空間理論や社会性、注目されている話題からもアプローチができます。
建築計画系の論文や、修士や博士論文・作品、建築家対談からもインスパイアされるものはたくさんあります。特定の論文を見つけ、引用や索引から論文の信憑性を確かめ、専門性の高い情報にたどり着くのが望ましい検索の仕方です。
他にもプレゼンボードや解説動画などを参考に勉強するのも効果的でしょう。
参考サイト:
-
HP名称+(内容)となります。
- JIA関東甲信越部大学院修士設計展(大学院優秀作品アーカイブ集)
- 日本建築学会論文(論文アーカイブ)
- J-stage建築計画系論文(論文アーカイブ)
- CiNii Articles(日本語論文掲載サイト)
- Avery Index to Architectural Periodicals@ProQuest(海外論文アーカイブ)
- DeGruyter. Birkhauser Architecture and Design(海外電子書籍アーカイブ)
- Institution of Civil Engineers.ICE(海外論文アーカイブ)
- 10+1 website(建築理論・対談集など/既に更新停止)
- Cradle技術コラム(建築工学・事例紹介など)
ネットに掲載されているテキスト・論文はまさに玉石混交ですが、公開されている文章のなかで実際に価値があるのは全体の5~10%ほどだと言われています。
大学図書館やデータベースなどを利用し、必要で有用な情報だけを手に入れる工夫をしなくては、時間の浪費になってしまいます。
動画サイトでの検索
YouTubeやNetflixなどで視聴できる動画はジャンルが非常に幅広く、PC上のブラウザやスマホでも閲覧可能です。
動画サイトで検索する内容は建築ソフトのチュートリアル動画だったり、模型、製図作業中にラジオ感覚で音楽を流したり、色々な用途があります。
参考動画サイト&コンテンツ:
- サイト名・チャンネル+(コンテンツ内容)となります。
- YouTube・MattRsinger(建設系ブログ・住宅設計)
- YouTube・Show It Better(ビジュアライゼーション・ボード制作・ソフト操作)
- YouTube・Architectural Digest(別荘・高級住宅紹介)
- YouTube・How to Architect(デザインメソッド)
- YouTube・Surviving Architecture(ビジュアライゼーション・ソフト操作)
- YouTube・OUgraphics(Photoshop・ソフト操作)
- YouTube・Rio Ryne(SketchUpスピードビルド・ソフト操作)
- YouTube・30X40 Design Workshop(建築家向けのチュートリアル)
- YouTube・SENSORS(建築/デザイン/哲学/テクノロジー対談など・更新終了)
- YouTube・NewsPicks公開動画など(社会問題討論)
- NewsPicks・What is Design(コラム・設計対談・社会問題討論)
- MasterClass・FrankGehry(有料コンテンツ・デザインメソッド)
- Netflix・Abstract Art of Design(有料・ドキュメンタリー)
- ニコニコ動画・五十嵐太郎対談など(建築家対談アーカイブなど)
- 下記3項はTV視聴できます。
- Business On Demand・カンブリア宮殿(有料・ドキュメンタリー)
- Business On Demand・ガイアの夜明け(有料・ドキュメンタリー)
- Business On Demand・WBS(有料・ニュース・経済・最新市場など)
- TED・TonyFadell(Appleデザイナー講演)
ブラウジングスタイル:Vivaldi
GoogleChromeを例に解説しますが、
- 検索エンジンを設定(Google、Yahoo!Japan、Bingなど)
- ブラウザのアカウント登録を済ませる
- Cookieを有効にする
- 検索するワードを入力
- 関連ワードがタイトルのページをタグを分けて開く
- 海外ページでは翻訳機能を利用しながら閲覧
- 自主的に検索しない場合、Feedly、Pocketを利用
- Twitter、FacebookなどSNSからもトレンドを検索
- 参考にできるページをブックマークに追加
- ブックマークを整理
- 検索履歴&ブックマークから必要な情報を選別
- ページを表示しながら重要な部分をメモに残す
- JPG画像、PDF画像がある場合ダウンロード
- 最終的にOneNoteなどで資料集にまとめる
- クラウドやブログ、データベースでバックアップをとる
- 参考にするプレゼン動画を流しながら、資料内容を確認
- 他デバイスで資料の内容を確認
といったブラウジングからプレゼンまでの手順の例を挙げてみました。
画像検索、テキスト収集、動画、音楽再生など、異なる用途のブラウジングが多い建築デザインでは、機能的なUIとスッキリとパネルを収納できる能力を兼ね備えたVivaldiが適していると思います。
検索エンジン
検索エンジンによって表示される広告、検索候補がことなるため、特に海外資料を検索するときは、複数のエンジンを利用する必要があります。
Vivaldiではアドレスバーを表示して、
- Yahoo!
- Bing
- DuckDuckGo
- Ecosia
- Wikipedia
- Qwant
上記の検索エンジン間で切り替えることができます。ブックマークで新しいウィンドウを開かずに入力できるのは便利な機能のひとつです。
アカウント
Googleアカウント、そしてアップル社ではicloudアカウントを通じてブックマークや既存ブラウザでの拡張プラグインを受け継ぐことができます。
Vivaldiを含む多数のブラウザでは互換性があるため、シームレスにサービスを利用できる理由になっています。
拡張機能
GoogleChromeで便利な拡張機能に、
- プラグイン名+(機能・使用頻度)の説明
- Google翻訳(ブラウザページ全翻訳・頻度大)
- Adblock Plus(ページ上の広告を全て排除・頻度大)
- Adobe Acrobat(ページをPDFに変換・頻度中)
- Full Page Screen Capture(ページ画像全体保存・頻度中)
- ato-ichinen(期間を限定して最新のページのみ検索・頻度小)
- SearchPreview(Yahoo!とGoogle検索ページのサムネイル画像を表示・頻度小)
などがあります。
注意点として拡張機能を追加する際、ブラウザ処理速度は落ちていきますので使いたい機能に絞るのがよろしいでしょう。
複数タグ
検索結果から該当するものを新しいウィンドウに分けてタグを新設します。しかし、ダグが20~30以上に増えてくるとGoogleChromeの既存の表示画面では詳細を収められなくなります。
Vivaldiではタグスタッキング機能やサイドパネルからウィンドウを一括して表示して、快適にタグを管理することができます。
スピードダイヤル
既存の機能をさらに改善し、新規のページからアイコン、ページのサムネイルを表示して内容を把握しやすくできます。
サイドパネル
Vivaldiのサイドパネルではブックマーク、履歴、ブラウザ内ダウンロードファイル、メモ、そしてウェブパネルを同時に収めることができ、複数ウィンドウ間で資料を抜粋あるいは閲覧するのに大変役立ちます。
マウスジェスチャー・ショートカットキー
マウス右クリックを押した状態で規定の動作をすると、新しいウィンドウを開いたり、ジェスチャーに振り分けたショートカットキーを実行します。
他にもマウス操作が煩わしいタグの操作も「F2キー」からタブ選択したり、コマンドのショートカットキーの設定を確認できます。
UIデザイン
GoogleChromeやSafariのシンプルなUIと違い、VivaldiのUIは実用的な機能と設定をさらに細かくできることを売りにしたブラウザのひとつです。
特にノートPCでウィンドウパネルを分割したり、大量のファイルを開かなくてはならない時に、Vivaldiの集約されて考え抜かれたUIには感動させられるものがありました。
利用例
Googleアカウントを同期させてからはVivaldiをメインのブラウザとして利用することもできますし、GoogleChromeを簡単な作業をするためのメインブラウザ、Vivaldiを実務的な作業をするためのサブブラウザというように使い分けても良いと思います。
GoogleChromeが物足りなくなった方に向けてVivaldiをおすすめします!
補足
プレゼンボード制作の流れについての詳しい解説をしています。