かーきアサヒの建築手記

建築デザインについての時短術や現留学先での生活の違いを面白くまとめていきます

蓄積するほど効果絶大…!!1週間だけで出来上がる建築デザインの本質を解説してみた

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ソフトを手足のように使いこなす人を見て、あなたは何を思いますか。短期間でないし3日間だけで質の高い図面を描き上げてしまう人を見て、あなたは何を思うのでしょうか。

彼らはあなたが何週間もかけて描いた図面、制作した模型を一瞬でこなすわけではありません。彼らには自分だけの方法で膨大に見える工数を賢く省略しているだけなのです。

 

今回は一週間、いや蓄積が十分であれば何日かで終わってしまう設計の方法について解説しようと思います。

 

設計素材の蓄積

これがもっとも時間のかかる工程になりますが、あなたはキチンと今までのデザイン案を3Dモデルデータとしてファイルの中、HDDの中に保存していますか?

 

まずは設計の素材の再利用をしてください。つまり3DモデルやPsファイルの制作という大変時間のかかるものを以前作ったオリジナルに手を加え、次の設計にも再利用をすることで時間短縮を図るということです。

 

たとえば、大学生の設計カリキュラムでは一週間に1~2回にデザインの授業があるわけですが、毎授業でデザインの進度が変化するわけではありません。なぜならデザインの多くは自分の試行錯誤したアイデアを現実の建造物に可能な方法で再現させる必要があり、この部分が最も時間をかかってしまうといっても過言ではありません。

すべてのデザイン案で新しいものを模索する必要はあるのか、という問題に直面しますが、常に新しいものを作り続ける必要はありません。

  • 建築デザインにおいて、一番重要なのは建築物自体に必要な機能が搭載されて、なおかつその場所にある潜在的な問題を解決することにあります。そしてその問題解決のための手段は違っていても同じでも構わないのです。

 

いままで3Dソフトで制作した柱や建具、家具などの以前作ったモデルはすべて番号を振り分けて、分類に応じて整理をしておきます。そして、必要な時に実用的な素材をファイルの中から探して、使えるものを選んで新しいモデルを制作します

それが何週間もかけて作ったデザインを1週間に短縮する最も効果的な方法なのです。

素材の収集

ひとつ重要な注意点がありますが、素材には先天的に構成する相性が存在します。例えば、あまりにも風格が違う場合、モデルにヒューマンスケールが体現できていない場合、素材が建築空間よりも目立ってしまう場合などは素材としては適していないものと判断ができます。

 

そして創作の余地がある素材の場合、自分が作ったもの、あるいは自分が手を加えたものがふさわしいといえます。建築デザインにおいてオリジナリティは創作である以上必然項目になりますが、自分の過去の作品をまねるのは禁じ手ではありません

 

ですが効果の出たものを味がしなくなるまで使い倒す、というのはどこの世界でもあまり褒められた行為ではありません。自分の過去の作品のストックを増やせるように心がけていきましょう。

  • 創作の段階で時間をかけてしまったものの、結局ボツになってしまった案やその間に使った操作の手順は大事に記録しておけば、何かの拍子に別の設計に使える…ということはあります。つぎ込んだ10時間を途中でやめたら10時間は無駄になってしまいますが、再開すれば蓄積した10時間の時点から試行錯誤を再開できるわけです。

テンプレート・マニュアルづくり

デザインの段階である程度必要事項の手順が決まっているわけですが、普段から時間を決めて図面を描く、プレゼンボードを制作する、そして作業の順序を決めてその通りに実行していく、といった自分だけの作業のテンプレートを作成しましょう。

 

テンプレートやマニュアルを作ることで手順の全体から無駄な手順、重複している手順を見直すことで時間を短縮できるようになります。

 

もちろん他人に共有する必要はありませんが、緊迫した時間内でミスを最小限にとどめる、という観点から言うとテンプレートやマニュアルは自分だけがみて理解できるものではなく、誰もがわかりやすくすぐに実践できるように親切に作りこむべきなのです

  • 個人として複雑な問題を解決するときに、いつも同じ手順を完璧に実行できるとは限りません。マニュアルを隣において、常に進度を確認することで、時間内に間に合わないような無謀な選択を避けれたり、余裕をもってミスがないかを検査したり、速い方法を思いつけるようになります。
  • チームとしてスケジュールを共有したり、仕事を分担すべき時にマニュアルやテンプレートは絶大な効果を発揮しますし、円滑に意見の伝達が進めるには非常に効果的な方法なのです。

高強度のアウトプット

実践経験を積むというのは言わずも知れたことですが、コンペに参加する、インターンに行く、建築雑誌の編集の仕事をもらう、自主的に建築士に指導してもらう、などといったことは誰もが実行できるわけではありませんがその分結果は約束されています。

 

建築士を目指す方ならどんなにデザイン力を磨いても、実績がなくては「裸の王様」と揶揄されてしまうでしょう。失敗を恐れずにアウトプットを続けることに意味があるのです。

まとめ

今回はデザインに使える素材を蓄積すること、素材収集の注意点、テンプレートやマニュアルを作ること、そして実践経験を積むことが短期間でデザインを仕上げるための方法であることを解説しました。

 

建築デザインのみに焦点をあてた話ではなく、知識やネタを集めて、必要な時にひきだしから使えるものを探す、という行為は創作の分野では共通しているものだと感じております。

一週間でできるデザインは決して魔法のような話ではなく、熟練者による日々の努力のたまものなのです。逆に時間ばかりにとらわれて、必要な労力を必要な方面に費やすのを怠ると、すぐにではありませんが、徐々に競争の世界で淘汰されてしまうのです。

 

ぜひ今からできることを実践していきましょう!