建築デザインの時短術!プレゼンボード作成へ
まず初めに建築デザインからプレゼンまでの製作を前提として、プレゼンボード作成時に使用するソフトと利用法、注意点について解説します。
プレゼンボード作成時に使用するソフト一覧
- AutoCAD/ArchiCAD
- Adobe Creative Crowd(下記3項の総称です)
- Adobe Photoshop
- Adobe Illustrator
- Adobe Indesign
- CamScanner アプリ(スマホ)
- XmindZEN(スマホでもPCでも可)
- クラウド(データベースとして利用)
プレゼンボード制作手順
各ソフトの解説
AutoCAD/ArchiCAD
CADデータつまり、建築の基本図面の作成はすべてこのソフト内でこなすのが好ましいです。デザイン段階での図面には平面図に付属する記入項はたくさんあり、モデリングソフト内でも記入できるものもあれば、用途に合わせた記入法で行うプロジェクトもあります。プロジェクトの基準を参照して下さい。
Adobe Photoshop
通称フォトショ、このソフト内では敷地の分析図、建築デザインの分析図、レンダリング図などを重点的に編集・修正するソフトになります。
Adobe Illustrator
通称イラレ、編集がさらに容易なベクトル図の形式で分析図や文字などのレイアウトを編成することができます。
Adobe Indesign
通称インデザイン、プレゼンボード、ポートフォリオのレイアウトを編集するためのソフトです。特に、枚数の多い紙面での編集機能はPhotoshop、Illustratorよりもはるかに優れています。
CamScannerアプリ
有料アプリの機能ですが、スマホで画像をスキャンすると文字を直接WordやPDFといったベクトル形式に変えて出力できる補助アプリです。建築雑誌や書籍などで、図面や文章を引用・参考にする際に、スキャナーに通さなくてもアプリで写真を撮ればPCで編集できるベクトル資料に早変わりします。
XmindZEN
マインドマップ、つまり問題点を箇条書きして整理するためのアプリです。複雑な問題やその解決の手順をプレゼンで伝えたいとき、強調したい内容をまとめるのに非常に役に立ちます。
クラウド
PCデータを移す際にUSBなどを使いますが、他人にデータのリンクを共有できるのとデータの紛失・破損を防ぐために、携帯できるHDDだけではなくクラウドを活用しましょう。プレゼンボード印刷店によってはクラウドでデータを送り、Uberなど印刷したボードを配達してもらうこともできます。
プレゼンまでの流れ
- 建築予定地に向かい、敷地の情報を集める
- 問題点の整理
- デザインによる問題解決策の提案
- 簡単なパース図の製作(ラフスケッチ)
- 簡単な模型の製作(3Dモデルでも可)
- 詳細な空間の機能を列挙、模型(3Dモデル)の修正
- 4,5,6の手順を踏まえて模型、平面図を清書
- 3Dモデルを制作した場合、レンダリング図を製作
- プレゼンボードに使う簡単なレイアウトを製作
- レイアウトに合わせた比率、スケールの図面を出力
- 表記や文章を問題点の解決策を元に編集・作成
- プレゼンボードのレイアウト、添削、印刷
- プレゼンの予行練習
1~3までのソフト活用
敷地周辺の写真と気づいた事や書籍、雑誌で引用できる部分を記録、CamScannerとXmindZENを使い、全てPC上で編集できるデータに変換しておきます。その際必要だと思う資料をXmindZENなどのマインドマップに記入し、重要な資料をクラウドに保存します。
4~7までのソフト活用
パース図のラフスケッチをA案B案C案といったようにまずはイラストに描きます。
- A案は敷地の情報を忠実に反映したもの
- B案は資料の情報にひとひねり変化を加えたもの
- C案は自分の感性だけで製作したもの(A案B案に納得がいかない場合のみ)
イラストをもとに模型、3DモデルをAutoCAD・ArchiCADなどで作ります。
- 機能や動線、敷地の運用条件を列挙
- 前提条件を踏まえてA、B、C案の検討をする
- 検討した結果を文章や分析図などにまとめあげる
文章や分析図、模型は初期の段階と後期の段階に分けて作ることで、デザイン案の修正、デザイン前後期での比較が容易になります。そして段階ごとの資料をマインドマップとクラウドにそれぞれ記録します。
8~13までのソフト活用
模型を写真に撮したり、モデリングデータをレンダリング(必要な場合)し、Photoshopなどでパース図面の調整や編集を行います。
次に図面の素材やマインドマップ、クラウドに保存した資料をもとにプレゼンボード全体のレイアウトを決めます(ラフスケッチが好ましいです)。
ラフスケッチをもとにIllustratorやIndesign内でのレイアウトの詳細な構成、出力画像の大きさ、文章などの内容を決めます。
最後に作成したマインドマップをもとにプレゼン用の文章を準備、プレゼン本番前に少なくとも3人以上の方に予行演説を聴いてもらい、プレゼンの意見や改善点を出してもらいます。
Adobeソフト運用時の注意点
画像の編集で最も自由が利くのはPhotoshop、Illustratorですが、建築デザインのデータは基本的に膨大な大きさになることが多く、いかに簡単で必要な分の大きさだけのファイルを編集するかが大切になってきます。
Photoshopでの注意点
プレゼンボード図面のレイヤーやフィルターを増やせば、その分画像の大きさに応じてファイルの容量が増えていきます。印刷する場合はDPIを300にする必要がありますが、画像の量が多い場合は操作に支障をきたすので画像ごとのファイルで編集し、InDesign内でレイアウトするのが良いと思います。
そして印刷する場合、必ずスケールごとの実際の大きさを確認してください。表記がピクセルの場合、実際の単位よりも大きかったり、小さかったりすることがありますが、レンダリングソフト内の表示はピクセル単位なので、しっかりと需要にあった大きさを出力することが、適切な時間で作業を終わらせられるポイントになります。
Photoshop内での文字はピクセル表示、llustrator内でベクトル表示になりますが、字体の操作はベクトル図の状態の方がファイルが軽いので、文字レイヤーは特にIllustratorで編集するべきです。
Illustratorでの注意点
ファイルの量が少なく、規模が小さい場合プレゼンボードの編集はIllustratorだけで十分ですが、データが多い時にはInDesignでのレイアウトがスムーズにこなせます。
ベクトルデータは地図のように、複雑な線形を編集するとたちまちファイルの容量が大きくなり、操作もスムーズにはいかなくなります。
記入漏れの編集での注意点
Adobeソフトでは建築専用の記入方法や機能が備わっていないため、基礎図面で記号や図面の記入漏れがある場合、Adobeのソフト内でプレゼンボードの修正をせず、モデリングソフトやCADで全ての修正を終わらせましょう。
補足:考えをまとめる
マインドマップを作成することもプレゼンボードを筋道立てて話していく手助けになります。
補足:テンプレート・データベースを活用する
更なる時間短縮を求める方へおすすめのやり方があります。